肛門周囲膿瘍とは
乳幼児の肛門周囲膿瘍とは、乳幼児期(生後数ヶ月から2歳まで)にしばしば発生する、肛門周囲の組織に生じる化膿性の炎症疾患です。一般的には、赤ちゃんのおむつかぶれや肛門の衛生状態の悪化が原因とされています。下痢が続いていたりうんちの回数が多いと発症しやすい傾向があります。
症状
乳幼児の肛門周囲膿瘍の主な症状には、肛門周囲の赤み、腫れ、痛み、かゆみ、そして膿の排出が含まれます。 最初は肛門周囲にしこりのようなものができて赤く腫れていきます。次第に、そこから膿が溜まっていきます。しこりの数は1個のことが多いですが、同時期に数個できる場合があります。 赤ちゃんは不快感があり不機嫌になったり、おしりを触られると嫌がる、便意を示す際に痛みを訴えるといった様子が見られます。 また、発熱や食欲不振がみられることもあります。
原因
この疾患の主な原因は、おむつかぶれや肛門の清潔なケア不足です。おむつかぶれは、おむつ内で湿った状態が長時間続くことにより、肌が刺激を受けて炎症を起こす状態を指します。加えて、乳幼児の便は通常、酸性であり、これが肛門周囲の皮膚のバリア機能を低下させ、感染のリスクを高める可能性があります。
乳幼児の肛門周囲膿瘍の検査
乳幼児の肛門周囲膿瘍の診断には、主に身体診察が行われます。症状や肛門周囲を観察して評価した上で、必要に応じて膿の培養や血液検査を実施する場合もあります。これにより、感染の種類や重症度を確認し、最適な治療法を選択することが可能です。
治療法
まずは、肛門周囲の清潔な状態を保つことが重要です。赤ちゃんのおむつを頻繁に交換し、清潔な状態を保つように注意しましょう。また、膿を排出するために入浴洗浄や局所圧迫を根気よく続けていきます。
膿が深部にまで広がっている場合やお尻の腫れがひどい状態のときは、切開で膿を排出します。切開した部分が閉じると膿が溜まっていくので膿を出し続ける処置を継続して行います。切開部分が閉じてしまっても、再び切開・排膿を繰り返すことで状態が落ち着いてきます。
治りが悪いケースでは、細いチューブをおしりに入れて膿を出す処置を行うことがあります。
また、抗生物質や塗り薬を使用する場合もありますが、抗生物質は感染の鎮静化と治癒を促進する役割があり、治療には膿をしっかりと出し切ることが重要です。
乳幼児の肛門周囲膿瘍は早期に適切な治療を受けることが重要です。医師の指示に従って治療を根気よく継続することで、赤ちゃんの快復と予防につながります。多くの赤ちゃんは、2歳ごろまでには体の免疫もしっかりつくので軽快・完治していくことがほとんどです。こまめにおむつを替えて清潔に保ちながら、治療を続けていきましょう。